2006年5月20日

犬と暮らす家とは

犬と暮らす家に同じものはない!

私は設計活動の傍ら、犬の室内飼いについて多くの時間を割いて研究しているので、特別な家だけでなく、ごく普通の家での犬との暮らしを沢山見させてもらっています。

とりわけ写真を撮らないという約束をして訪れる家では、面白いものを少なからず発見できます。 風通しを得るため和室のフスマを開けたままにしたいのに、犬が仏壇に供えたご飯を食べてしまうことに困ってしまった飼い主さんは、フスマの隙間に膝丈ぐらいの高さの細長い板を挟んでドッグフェンスを作っていました。 玄関の段差がキツイお宅では足の短いダックスフントのために日曜大工でとっても小さな階段を作っていました。 犬の飼い方の本を読んで「ハウス」が必要だと考えた飼い主さんは段ボールで家の中に三角屋根の犬小屋を作っていました。 それらはお世辞にも綺麗とは言えない代物で、決して雑誌等に紹介されることはないのでしょうけれど、それぞれの飼い主さんの愛情や工夫が込められた、犬と暮らす家の重要な構成要素なのです。

ヒューマンスケールとケイナインスケールが混在する、私のような研究者にとってはとても面白い空間がそこにあります。 そしてそれらは、非常に個別的なもので、決して標準化できるものではありません。 これらの事例をヒントにして、私は「犬と暮らす家」を設計していますが、やはり標準的なものなど1つもなく、その家で暮らす人間と犬達との間にのみ成立する極めて個別的なものとなっています。