2022年8月4日

猫と暮らす家

猫専門建築家が教える大切な5つのポイント|実例写真あり

Title : 猫のために家を建てるなら考えておきたいコト
Title : 猫のために家を建てるなら考えておきたいコト

::はじめての猫と暮らす家づくりシリーズ::

猫のために家をつくるときに押さえておきたい5つのポイントとセンスの良いインテリアとのバランスの取り方。

 一日中家の中にいる愛猫のためにもっと良い環境を整えたい。「そうだ家を建てよう!それも猫たちにとって特別な家を。でもインテリアにはこだわりたい!」という方が多くなってきたように思います。

 でも猫のための家といえば、キャットウォークと名付けられた板切れが壁にいっぱいくっついているイメージで何か違う。オシャレじゃない。よくよく見ると人間が使いにくそう。。。そんな状況から離脱するための必須事項をまとめてみました。次にあげる5つのポイントを押さえれば、猫のことを大切に思いつつ、カッコ悪い家や使いにくい家にはならないと思います。

1.猫のトイレ置き場の設定

 猫のトイレ置き場は初めから図面の中で決めておいた方がよいでしょう。でも、リビングルームに置きたくないからと言って、人が猫トイレの中を容易に見られない場所、猫砂の管理ができないほど周りが狭い場所に設定するのは避けましょう。

猫のトイレ置き場
猫のトイレ置き場は常に清潔にできるように作業空間が必要

2.猫の水飲み場の設定

 猫は水をあまり飲まない種類の動物ですが、普段からたくさん水を飲んでもらうことで、将来の病気のリスクが下がります。新鮮な水を常に用意してあげられる環境を整えましょう。私の設計では、猫専用の水飲み場を設備工事として設けますが、そこまでしなくても、水飲みボウルへの給水が楽にできるような動作の位置関係を確認しておくとよいでしょう。

猫の水飲み場
猫の水飲み場

3.猫のために窓はある

 猫にとって窓から見える景色はテレビのようなものです。ですから、誤って猫が逃亡してしまわない防犯格子を取り付けたり、いっそのことFIX窓にしたうえで、窓の前に猫がくつろげる場所をつくりましょう。そして、初めて住む土地で建てるなら、あらかじめ窓から何が見えるか調べておくことも大切です。窓の周りで猫がくつろぐようにできる工夫はいろいろとあります。簡単なのは、額縁(サッシの周りを囲む部材)の奥行きを通常より広くしてスペースを確保してあげるとよいです。

窓の額縁を広くとることで猫の居場所が簡単にできる

4.猫の運動・アトラクション

 これが皆さんの一番気になるところだと思いますが、これから猫と暮らす家を建てようという方には、「ねこねこしくないもの」をお勧めします。"ねこねこしい”というのは私の事務所内でのスラングで、いかにも猫が使いそうなものってカッコ悪いよね・・・というニュアンスの言葉です。

 キャットウォークや猫ステップのようなものを散々作ってきた私たちが言うのもおかしいのですが、そのような”後から取り付けたもの”っていうのは施工者の都合で取り付けが後回しにされているわけで、どうしても、とってつけた感じになりがちです。デザイナーの腕しだいですが、とってつけたようなものを拒否してみたら、ねこねこしくない良いデザインが手に入るかもしれませんよ?

 ちなみに弊社のいろんな猫のアトラクションは後付けではありません。部材のシャープさやディテールにこだわっているので「後付けの猫用の何か」には見えないようにデザインしています。

 そして間違ってはいけないのはキャットウォークは目的地に行くための手段であり、それ自体にはさほど魅力はありません。ですが、キャットウォーク等が複雑に高低差を持ちながら、魅力的な場所に向かうネットワークになっているのなら、交差点の部分が価値を持ちはじめます。キャットウォーク自体が魅力的なものになるためには、ある程度の複雑さと大きさが必要です。

猫大階段の写真
猫大階段は猫にとっての地形

5.猫の居場所

 現代の家は高性能グラスウールを使いつつ気密工事もしっかりとやりますし、サッシの性能も格段に上がっていますから、おおよそ家の中の温度は一定です。窓際が極端に暑いとか寒いとかはなくなりつつあります。でも、吹き抜けのある家などには大きい気積(部屋の面積に天井高さを乗じたもの=部屋の空気の量)が存在しますから、あたりまえのことですが、猫は寒ければ暖気が集まる高いところに行きますし、暑ければ床に落ちています。

床に落ちている猫の写真 熱い空気は上へ上るので床付近の方が涼しい
床に落ちている猫 熱い空気は上へ上るので床付近の方が涼しい

 部屋の中にいる猫にとっての適温というのはわかりずらいもので、風の吹き出し口のある冷暖房空調設備を使うとなおさらです。ですから、猫が自分で快適な場所を選べるように考えておきましょう。そのコツとしては、猫用のベッドとかを用いるのではなく、あくまで人間用の椅子や一人掛けソファが、人が見ていておだやかな感じにレイアウトされているのが良いと思います。

 考え方としては、いろんな場所で住まい手が椅子に座って読書するイメージです。1階の窓際や吹き抜けに面する廊下、階段の踊り場などに椅子が置けるほどのちょっとしたゆとりがあればいいと思います。この考え方も「ねこねこしくない家」にするためのノウハウですね。

猫ロフトとラウンジチェア

ここまでのまとめ

::はじめての猫と暮らす家づくりシリーズ 第1回::
2022.08.04

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